AIエージェント 人事の視点で整理する後半である。前半では、自社のAIに任せた資料づくりで、7日間に作業のあった5回のうち4回(8割)がやり直しになった理由を書いた。原因は能力ではなく、合格の基準を仕事の「後」に見せていたことだった。自社では基準を手引きに書き足して、順番を前に変えた。効果はこれから確かめる。
ここでは、その学びを、どんな仕事にも使える形にしておく。
任せる前に渡す、3つのもの
- 基準:何をもって合格か。評価する側の頭の中の物差しを、言葉にして先に渡す
- 見本:合格した仕事の実物を、一つ見せる
- やってはいけないこと:越えてはいけない線と、迷ったら人に戻す条件
新人にもAIにも、同じ3つが要ると私たちは考えている。ただし、自社で試したのは「基準」だけで、「見本」と「やってはいけないこと」は考え方として整理したものである。そして、渡して終わりにはしない。守られたかを確かめるところまでが、任せるということだ。
仕事に当てはめると
- 日程調整:基準は「誰の予定を優先するか」。やってはいけないのは、相手に確認なしで確定すること
- 経費の仕訳:基準は「どの勘定科目に寄せるか」。見本は確定済みの仕訳。やってはいけないのは、金額や科目をAIの判断だけで確定すること
- 商談のカルテ化:基準は「次の商談に必要な項目が埋まっていること」。やってはいけないのは、客先の個人情報を外に出すこと
- 製造業のCADオペ:基準は「どの規格・寸法ルールで描くか」。見本は検図を通った図面。やってはいけないのは、図面データを外部に出すこと
どれも、考え方の例である。
自社で確かめてほしい3つの問い
- 評価の基準を、仕事の前に書いて渡しているか
- その基準は、評価する側の頭の中の物差しと、本当に同じか
- 合格した仕事の見本を、一つでも渡しているか
2つ以上が「いいえ」なら、手戻りの出どころは、基準を渡す設計にあるかもしれない。どこから整理するか迷う場合は、AI診断で現状を確かめられる。
AIを信じて任せるとは、結局のところ、新人を育てるのと同じことなのだと、私たちは考えている。


