AX人材(AIで業務や組織を変える動きを担う人)を育てる前に、決めておくことが3つある。前編で紹介した医療向けIT企業(株式会社ITreat)の事例は、研修よりヒアリングを先に置く順序の話だった(出典:同社のプレスリリース、PR TIMES・2026年10月7日)。後編では、その順序を自社の業務に当てはめる方法を書く。
研修の前に決める3つ
- 何を任せるか:どの業務に生成AIを使うのかを、先に1つ選ぶ。全業務を一度にやらない
- 何をもって合格か:出来上がりを誰が、どんな基準で見るのかを、言葉にして渡せる形にする
- どこで人に戻すか:やってはいけないことと、迷ったときの戻し先を、先に決める
自社で試したのは「合格の基準」を先に渡すことだけで、残る2つ(何を任せるか、人に戻す条件)は考え方として整理したものである。
業務の棚卸しで最初に見るもの
- 毎月、同じ形で繰り返している仕事(たとえば日程調整や、経費の仕訳)
- 出来上がりを人が確認している仕事(たとえば営業の商談のカルテ化)
- ミスが起きたときに、取り返しがつかない仕事(たとえば図面や契約)
取り返しがつくかどうかが、任せる範囲を決める分かれ目になる。取り返しがつかない仕事は、AIに任せる前に、人に戻す条件を先に決めておく。
棚卸しの表は、4つの列で足りる
棚卸しは、大きな表でなくてよい。次の4つの列を、業務ごとに1行で埋める。
- 業務名:たとえば日程調整、経費の仕訳、商談のカルテ化、図面の検図
- 頻度:毎日か、毎週か、都度か
- 誰が確認しているか:確認者がいない仕事は、先に確認者を決める
- 取り返しがつくか:つくなら任せやすく、つかないなら、人に戻す条件を先に決める
あくまで考え方の例であり、成果の数字を示すものではない。たとえば日程調整は「毎週・総務が確認・取り返しがつく」と書ければ、任せる候補になる。図面の検図は「都度・設計者が確認・取り返しがつかない」と書けるなら、AIに任せる前に、人へ戻す条件から決める。
自社で確かめてほしい3つの問い
- 研修の前に、どの業務に生成AIを使うかを決めているか
- その業務の「合格の基準」を、言葉にして渡せるか
- 迷ったときに人へ戻す条件を、先に決めているか
2つ以上が「いいえ」なら、研修の設計より先に、業務の棚卸しに戻るのがよいかもしれない。AI診断で現状を確かめられる。
事例の紹介は、前編で読める。


