結論から言うと、AI 仕訳 ルールを会話で直せるようになっても、先に決めるのは「直す対象の仕訳が、1行で済むのか、複数行に分かれるのか」である。保存を指示する前に、この区別を持っておく。
管理画面を開かずに、入力ルールを直せる
2026年10月21日、経理AIエージェントを提供する会社が、請求書の明細入力に使う「入力ルール」を、AIとの会話で確認・編集できるようにしたと発表した(出典:同社の発表文)。ClaudeやChatGPT、Microsoft 365 Copilotなどから接続して使う。利用にはAIツール側で接続設定が必要だと注記されている。
発表文の例は、「A社の請求書の型番も明細メモに入れたい。どう変えればいいか案を出して」と頼む使い方だ。AIが現在のルールをもとに変更案を示し、内容を確認して保存を指示すると、そのまま反映される。もともと、ユーザーの修正内容から取引先ごとの入力ルールをAIが自動で学ぶ仕組みがあり、会話での編集はその上に足された形である。
案が手軽に出る分、保存の前に見る点を決めておく
案が出るまでの手間が減ると、案の良し悪しを見る前に保存してしまうことがあると思われる。確認の観点を1つ決めておくだけで、保存の重みは戻る。
発表文には、複合仕訳(1つの入出金が複数の科目に分かれる仕訳)への言及は見当たらなかった。発表文を読んだ範囲での話で、この機能が複合仕訳をどう扱うかは、当社では未確認である。
当社の過去仕訳で数えると
当社の会計ソフトにある過去仕訳(2025年3月〜2026年2月の12か月分)を確認したところ、毎月ほぼ決まった形で出る複合仕訳が3種類あった(実測。記録は当社のメモ)。役員報酬、事務所の家賃、借入の返済である。
役員報酬は、12か月連続で、各科目の金額まで同じだった。借入の返済は、元本の部分が固定で、利息だけが毎月少しずつ減っている。
この3種類は、1回の引き落としが複数の科目に分かれる。科目を1つだけ見て過去の履歴と照らすと、元本側と利息側が別々に数えられ、確からしさが割れて見える。当社の記録では、科目の組み合わせ全体で見る必要がある、と書いてある。この記録は過去仕訳の照合の話で、入力ルールの編集の話ではない。ルールを直すときも同じ見方が要るのではないか、というのは当社の推測である。
保存の前に数える1点
直近3か月分の仕訳を開き、1つの入出金が複数の科目に分かれているものを数える。ルールを会話で直す前に、その件数を知っておく。
0件なら、1行ごとの入力ルールの編集に向いている可能性がある。1件以上あるなら、直す対象が複合仕訳かどうかを、最初の指示に書いておく。保存を指示する前に、変更案が複数行の形を崩していないかを人が見る。
ただし、これは当社の見立てである。製品は未検証で、ルールを直した後に仕訳の誤りが減ったかも、まだ測っていない。


