AI書類選考を入れる前に決めるのは、精度の比較ではなく「AIが落とした書類を、誰がいつ見るか」である。「AI 書類選考 人事」で検索すると、ツールの比較が並ぶ。だが、導入後に困るのは性能より、確認の置き場がないことだと思われる。
2026年10月9日、株式会社XAION DATAが採用管理システム「XAION HR 採用管理」へのAI機能の搭載を発表した。履歴書・職務経歴書を求める人物像と照らして適合をAIが判断する書類選考、オンライン面接へのAIの自動参加と評価コメントの生成、オファーレターの自動生成が含まれる(出典:同社プレスリリース、PR TIMES・2026年10月9日)。価格は原文に記載がない。
最終判断は人、の手前に空白がある
原文は、採用担当者や面接官が最終的な意思決定に集中できる、という書き方をしている。最終判断は人に残る前提と読める。ただ、AIが「合わない」と振り分けた書類を、人が開く場面があるのかは書かれていない。製品の欠点ではなく、導入する側が決める運用の領域である。
却下が少ない数字は、安心の材料にならない
私たちは自社で、AIが出した案を人が承認・却下する運用を続けている。見張り役のAI(他のAIの出した案を点検し、承認か却下かを返す役)が下した判断は445件で、却下は14件、約3.1%だった(自社の決裁台帳の実測、2026年10月8日時点。判断の総数597件のうち152件は社長名義のため除いた)。この低さが、判断の正しさによるのか、確認が形だけになっているのか、数字だけでは分からない。この点は未解決のままだ。
これは採用の書類選考の実測ではなく、自社の業務の台帳である。採用の精度については何も示していない。示しているのは、確認する仕組みがあっても、却下の少なさだけでは中身を判断できない、という一点だ。採用なら、AIが不適合とした書類を誰も開かない限り、見逃した人材の数は数えられない。
導入前に決めるのは、確認の頻度と説明の範囲
- 不適合とされた書類の一部を、人が無作為に開く。 何割を、誰が、月に何回開くかまで決める
- AIの評価コメントの使い道を分ける。 社内の参考に留めるのか、応募者への説明にも使うのか
求職者の氏名・住所・電話番号を扱う業務でもある。AIに渡す前に何を伏せるかも、同じ場で決めておきたい。
次の一手は、本番に触れずにできる
過去の応募書類を数十件選び、AIと人が別々に判定して、食い違いを見る。本番の採用に影響しないので、導入前の検証として始めやすいと思われる。私たちはこのツール自体を検証していないため、精度については何も言えない。確かめられるのは、自社の確認の設計が回るかどうかだ。


