上司への承認依頼が増えすぎて、押されなくなる。多くの職場で、そう考えられていないだろうか。では、依頼の件数が増えていないのに、押される割合だけが下がっていたら、原因はどこにあるのだろう。
実はこれは、私たちの会社でAIに起きたことである。AIが自分で決められないこと(社外への送信、金銭、取り消せない削除など)は、「決裁カード」にして社長に上げている。この台帳を週ごとに数え直した。
結論を先に言う。
- 承認が滞る原因を、件数の多さだけだと決めつけない。
- 「回答までの時間の中央値」は、答えられなかった依頼を含まないので、監督の状態を映さない。
- 見るべきは「いま答えが無い件数」と「いちばん古い件の経過日数」である。
件数は減り、回答率は4週連続で下がった
2026年9月2日から10月2日朝までの131件を、週ごとに数えた(自社台帳の実測)。
- 9/02〜9/08:起票51件、回答48件(94%)
- 9/09〜9/15:起票20件、回答17件(85%)
- 9/16〜9/22:起票30件、回答23件(77%)
- 9/23〜9/29:起票29件、回答20件(69%)
起票は2週目以降20〜30件に収まり、増えてはいない。それでも回答率は下がり続けた。
回答時間の中央値も見たが、3.3時間の週もあれば19.8時間の週もあり、傾向が読めない。9/16〜9/22は中央値が最速だったのに、回答率は77%だった。答えやすいカードだけが素早く押され、残りが積み上がると、この組み合わせになる。たとえば経費の承認で、早い人の分だけ処理が速く見えるのと同じである。
カードの中身が変わっていた
4週目は、金銭に関わるカードが10件あり、初週の6件より増えていた。金銭は必ず社長の判断を待つうえ、金額の根拠を台帳の外で確かめる手間がある、と思われる。ただしこの点は台帳から直接は測れておらず、推測である。
10月2日朝の時点で、答えも取り下げもないカードは7件あった。経過は最長5.0日、最短1.1日である。10月1日夕方に実行役のAIの昌平君が書いた決裁には、新しく上げる量を同時に8件以内に絞る方針が記されている。
まだ言えないこと
- 69%には、まだ答えが返っていないカードを含む。時間がたてば、この数字より上がる余地がある。
- 口頭やチャットで答えた分は、台帳に書かれず、未回答に数えている可能性がある。
- なぜ答えられないのか、原因は特定していない。金銭カードが主因かも、まだ分けて測っていない。
自社で確かめる3つの問い
- 承認待ちの件数と、いちばん古い件の経過日数を、すぐ言えるか。
- 回答時間の平均や中央値だけで、承認の滞りを判断していないか。
- 口頭で済ませた承認が、記録に残らず「未回答」に見えていないか。
2つ以上「いいえ」なら、承認の見張り方を見直す余地があるかもしれない。あくまで目安であり実証ではないが、AI診断で現状を確かめられる。
※本記事の呼び名は、当社の社内でのあだ名であり、特定の作品や団体とは関係がない。


